大学進学を控えた18歳のジョニ(M・ワシコウスカ)は、自分の母親ニック(A・ベニング)、同じ父親を持つ15歳の弟・レイザー(J・ハッチャーソン)、レイザーの母親ジュールス(J・ムーア)との4人暮らし。ある日、自分たちの父親ポール(M・ラファロ)の存在が気になり始めた姉弟は、連絡をとり2人で会いにいくことに。しかし、ニックとジュールスにポールと会ったことがばれたことから、家族に少し異変が起き始める……。
2人のママとティーンの姉弟――南カリフォルニアで暮らすちょっと変わった家族は互いにオープンで、親子の関係も悪いようにはみえない。しかし、子どもたちが"精子提供者=遺伝子上のパパ"と会い交流ができることで、親子関係、さらにはママたちの夫婦関係も試練を迎える……。
細かな設定や描き方について「現実にあり得るのか」という指摘があるとはいえ、親子関係や家族のかたちを広く問いかける本作は、ゴールデングローブ賞作品賞受賞、アカデミー賞4部門ノミネートをはじめ、多くの支持を集めた。
世の中にはさまざまな視点があるが、本作は「家族」の枠を広げ、多様化する社会にやさしく寄り添っているように感じられた。キャストは活き活きしていて、演技の間合いが絶妙で笑える場面も。さらに、街並や食卓、庭園などが色鮮やか。音楽もまた素敵で、全体的な爽やかさが魅力だ。(渉)
ディーン(R・ゴズリング)とシンディ(M・ウィリアムズ)夫婦は娘と3人暮らし。猛勉強の末資格を取り病院で働く妻と夢をあきらめた夫。不満を持ち喧嘩がたえない2人。出会った頃は愛はあったのに……。そんな過去と現在が交錯するラブストーリー。数々の映画賞にノミネートされた世界が認める傑作。
男女が出会い、愛が生まれ、やがて終わりが来る。そんな夫婦の出会いと別れの物語を交互に追っていく。出会った頃は愛があって、輝いていた。現在は、一緒に過ごすことの喜びなどいっさいない。かつて夢を持っていた男は、いつのまにか妥協した仕事につき、女は輝きを失った夫にもう愛を感じられない。必死に愛を取り戻そうと努力する夫に対し、冷めた愛を取り戻せない妻。そんな男女の精神的変化や外見までも変えた役者の熱演がすばらしい。
印象深いのは現在と過去の関係性の違いを表す、喜びの涙と悲しみの涙を対比しているシーンだ。涙の意味の違いが胸に刺さり、愛に限界があることのリアルさが辛い。
この映画の最大のおもしろさは、愛が冷めていく課程が描かれていないことだろう。出会いと別れの"間"がない。よって観客は別れの決定的な原因は何なのかはわからない。それは決定的な原因などないということかもしれない。だから愛は難しい。(広)