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11月20日(日)小ホール 第2部

大人が楽しむ絵本のようなアニメーション


時代遅れの老手品師と少女の出会い。野性に目覚める父さんキツネとその家族の絆。画面の隅々まで趣向を凝らしたこだわりのアニメーションが心の奥底を揺さぶる。
    チケット料金
  • 一般:前売1,000円 当日1,300円
  • 子ども(4歳~小学生):前売800円 当日900円
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  • Pコード:558-659icon Lコード:36162

ファンタスティックMr. FOX

FANTASTIC MR.FOX

2009年/アメリカ、イギリス/ショウゲート配給/1時間27分
  • 監督・脚本・製作=ウェス・アンダーソン
  • 原作=ロアルド・ダール

  • 脚本=ノア・バームバック
  • 撮影=トリスタン・オリヴァー
  • 音楽=アレクサンドル・デスプラ

  • 声の出演=ジョージ・クルーニー、メリル・ストリープ、ジェイソン・シュワルツマン、ビル・マーレイ

  •      ウィレム・デフォー、オーウェン・ウィルソン

ストーリー

家族との平穏な生活のために泥棒稼業から足を洗ったものの、かつての刺激的でワイルドな生活を忘れられないMr. FOX。彼は、いい暮らしをしようと丘の上に立つ大木の家に引っ越したのを機に、野生の本能に目覚める。その丘の反対側には意地の悪い3人の農場主がいた。Mr. FOXは、昔を思い出して彼らの飼育場から獲物を盗み出すことに熱を上げる。

コメント

シンメトリカルな正面構図を多用したオフビートな作風で知られるウェス・アンダーソンらしさは、本作でも健在だ。いやむしろパワーアップしている。細部に緻密にこだわる監督の作風は、画面内に映るすべてをコントロールしなくてはならないアニメーションでいかんなく発揮された。

人間のような暮らしをする動物たちのドラマは、相変わらずのどこか欠点を抱えたキャラクターのずれたやり取りそのまま。父に認められたい息子とその思いに気づかない父のやり取りを軸に、夫婦の絆、キツネ対農場主の戦いなどが描かれる。

躍動感に満ちたスクロールアクション。遊び心溢れる音楽。感情豊かなパペットの表情。秋色に統一された画面に手作りの温もりが溢れる。子供の頃に絵本を開いたときのワクワク感と、人間味溢れる軽妙なドラマを同時に味わえる。(佐友)

イリュージョニスト

L'ILLUSIONNISTE

2010年/イギリス、フランス/クロック・ワークス、三鷹の森ジブリ美術館配給/1時間20分
  • 監督・脚本=シルヴァン・ショメ
  • 脚本=ジャック・タチ

  • 声の出演=ジャン=クロード・ドンダ、エルダ・ランキン

ストーリー

1950年代、パリ。ロックやテレビですっかり時代遅れとなった老手品師タチシェフは旅にでる。辿り着いたスコットランドのパブで、そこで働く貧しい娘アリスに出会う。彼女は、彼のことを夢を叶えてくれる魔法使いだと信じ、彼を追って島を離れて、都会のエジンバラの片隅で彼と共に暮らし始める。彼は、落ちぶれた自分を甲斐甲斐しく世話をして慕ってくれる彼女に、生き別れた娘の面影を見るのだった。

コメント

淡々とした静かな作品である。ほとんどセリフはなく、引き画で捉えられたキャラクターの細やかな身振りがその感情を豊かに伝える。フランスらしい細かい線で描き込まれた水彩調の画面の、柔らかな光、雨、霧といった詩情あふれる空気感の描写が素晴らしい。

時代に取り残された者のおかしみと哀しみ。手品師は、自らが必要されなくなったと感じつつも、旅先で出会ったまだ魔法を信じている少女を喜ばせようと手品を披露する。娘の面影を重ねながら、自らの存在を確かめるように。しかし時は流れる。少女は、成長して、青年に恋をする。

イリュージョンは、儚いからこそ美しい。移ろいゆく時代のなかで、手品師と少女が過ごした魔法のようなひととき。手品師が街を離れて、街の灯りがぽつぽつと消えていく。儚い幻想の輝きは、線香花火のようにそっと胸にしまわれる。(佐友)