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11月22日(火)ヴィータホール

ワールド・シネマ・ドキュメント


昨年に続き、さまざまなテーマをもとにあなたに問いかける、国内外のドキュメンタリー作品の特集です。
チケット料金:当日のみ800円

――日本初公開――
ワールドピースゲームと小学4年生

WORLD PEACE AND OTHER FOURTH-GRADE ACHIEVEMENTS

2010年/アメリカ/日本未公開/57分
  • 監督=クリス・ファリーナ
  • 撮影=ジーン・ローズ
  • 編集=ビル・レイフェンバーガー
  • 音楽=ウィル・ムッサー
  • 出演=ジョン・ハンター、ヴェナブル小学校4年生の生徒たち

ストーリー

米・バージニア州の公立小学校で行われている「ワールドピースゲーム」。生徒たちを4つの国に分け、一人一人に「首相」「国連代表」「世界銀行頭取」などの役を割り当てる。より平和で豊かな世界というゴールを目指し、次々と持ち上がる金融危機や環境破壊、テロなどに対処していく生徒たちの姿を追ったドキュメンタリー。

コメント

教室の中央に置かれた世界を模したゲーム盤。4つの国に仕切られ、油田や火山、先住民居留地や紛争地帯が描かれている。この小さな世界の住人となった33人の生徒たちは8週間で世界を(自分の国を、ではない)より豊かに、より平和に導くことを任される。

「ワールドピースゲーム」は、公立学校の教師であるハンター先生が80年代に考え出した教育教材である。始まりは紛争の続くアフリカの現状を高校生に説明するためだったが、今では生徒たちの意識を「町内の子供」から「世界の住人」へと変化させ、直面する問題に対しどう決断を下すべきかを訓練する教材に発展した。ゲームを通し、生徒たちは協力や話し合いが暴力よりも有益な結果を生むことを発見し、簡単には答えの出ない問題の解決方法を自分のなかに探してみることを学んでいく。

生き生きと話し合いを進める生徒たちの姿を見ていると、未来は、子どもたちへの教育にかかっていることに改めて気づき、心に響いてくる。(三)

監督からのメッセージ

I am so honored to have my film be part of your wonderful film festival. Thank you sincerely. I hope that your audience will enjoy the experience of learning from John Hunter, the wonderful teacher portrayed in the film.

When I first met John and his students, I was immediately and emotionally moved by the beauty of the relationship between a master teacher and his truly engaged students.

As I have always had little financial support for my work, I look for subjects that affect me in a personal way in that the passion I have for the subject outweighs the financial obstacles that often make the filmmaking process such a struggle. I believed that if I could convey to a wider audience the emotion evoked while I observed John teaching his children that this would be a film worth making.

As I spent more time with John’s students, I became more aware of the incredible lessons his children learn. John has dedicated his life to teaching children the “work of peace”, and he provides them with the tools of this work. The children learn to communicate, to collaborate and to compromise. They learn how to attempt to understand different perspectives, to work together to find common ground when solving complex problems, and yet how to have the courage to stand up for themselves when they think it is necessary to do so. Ultimately they learn to think for themselves, and to look within themselves for the answers to problems that do not have simple right or wrong answers. And perhaps most importantly, they learn that when they take care of others, they are truly taking care of all of us. I can not think of anything more important that we should teach our children.

Chris Farina

この作品があなた方の映画祭で上映されることを心から光栄に思います。そして観客の皆様が、この作品で描いているジョン・ハンター先生の素晴らしい授業を楽しんでくれることを期待しています。

私の映画制作の資金はいつもそれほど多くなく、私はその資金難を乗り越えるに値する題材というのを常に探しているのですが、ハンター先生と彼の教え子たちに初めて会った時、彼らの絆の強さに感動し、これは人々に伝えるべきだと思いました。

生徒たちは先生から驚くほど多くを学びます。ハンター先生は「平和教育」に人生を捧げ、平和のための「道具」を生徒たちに与えます。その道具とは、対話、協力、歩み寄りです。見解の相違をどうやって理解するか、複雑な問題を解決するために、どのようにお互いの共通点を見つけ出して共同作業を行うか、そして、必要に迫られた時に立ち上がる勇気をどうやって得るか、そうしたことを学ぶのです。最終的に、彼らは自分で考えることを学び、善悪がはっきりしない問題の解決法を自分のなかに問いかけることを知るのです。そして何よりも、あなたが誰かのことを気づかう時、それは自分も含めた私たち全員のことを気づかうことになるという大切なことを学びます。子どもたちの教育以上に重要なものはない、と私は強く思うのです。 クリス・ファリーナ

監督:クリス・ファリーナ Chris Farina

アメリカ・メリーランド州ボルチモア出身。バージニア州シャーロッツビルを拠点に、普段は注目を集めることのない、地元に貢献する人々を追ったドキュメンタリーを制作している。

出演:ジョン・ハンター先生

アメリカ・バージニア州出身。30年以上の経験を持つ公立小学校教諭。東洋哲学をベースに、子どもの能力を最大限に引き出す教育方法を研究し続けている。ベストティーチャー賞などの受賞歴も数多い。

もうひとつの奥入瀬~雑木林12年の軌跡~

2011年/1時間19分
  • 監督・脚本・撮影=附田博
  • 音楽=小川芳子

ストーリー

平成10年、十和田市奥入瀬の峠に拓かれたのは、心身障害児の中に健常児を編入する逆統合養育施設。その施設を作ったのは、自らも二人の障害児を抱える成重夫妻。成重夫妻と家族の絆、そして馬セラピーで支援する人々の交流を描いた、12年間に及ぶ記録映画である。

コメント

心身障害者児の中に健常者を編入させる逆統合施設「雑木林」。あまり耳にしない施設に非常に興味がわいた。当初想像していたものより、健常者と心身障害者の区別がほとんど見られず、「効果が現れた」というのではなく、子どもたちはどんな子も皆同じなんだ、皆一緒にいれば楽しく遊べるんだ、という雰囲気が施設全体に漂い、これぞ差を感じない教育である、と大変感心した。

映画が進むにつれ、施設まわりの自然の話にも移行し、つまりは子どもたちの成長を見守るには論理的なもので解決できるのではないと気付かされる。「雑木林」で育った子どもの成長ぶりが本当に清々しい。障害が特徴とか個性とか、こじつけのような単語を名付ける前に、体でみんなと馴染んでいくのが一番なのかもしれない。(瑞)

チェルノブイリ・ハート

Chernobyl Heart

2003年/アメリカ/(C)ダウンタウンTVドキュメンタリーズ製作/ゴー・シネマ配給/1時間1分
  • 監督・プロデューサー=マリアン・デレオ
  • 編集=ジョン・クストディオ

  • 協力=アディ・ロッシュ「チェルノブイリ子どものプロジェクト」代表

ストーリー

「チェルノブイリ・ハート」

1986年4月26日、チェルノブイリ原発事故発生。周囲は大量の放射能で汚染された。2002年、ベラルーシ。ホット・スポットの村に住み続ける住民、病院、孤児施設、学校等を取材し被爆被害の実態に迫る。

「ホワイト・ホース」

2006年、事故から20年後初めて故郷を訪れた1人の青年は、廃墟となったアパートへ向かう。青年は色あせた1986年のカレンダーを見つめ、近親者の10人がガンで死んだこと、自分もそうやって死ぬ確信があることを語る。

コメント

3.11以前もチェルノブイリや原発に関するドキュメンタリーは多数作られていた。それを知っていながら、ほとんど観てこなかった。福島の事故がなければ、この映画を観たかどうかもわからない。もし、観たとしても今の状況下とは全く違った見え方をしたことだろう。そのくらい、チェルノブイリの事故を遠いものとしてしか捉えていなかった自分が悔やまれる。この映画で目の当たりにした現実の重さに言葉を失った。25年経っても終わるどころか、放射能による被曝の被害は深刻さを増している。

そして「ホワイトホース」の青年の、行き場のないやるせなさは故郷を失った人々の悲しみを静かに伝える。多くの人の過去も未来も奪ってしまうものが、今も存在することに戦慄を覚える。

映画館を出るといつもの日常が目の前にあり、正直ほっとした。けれど、他人事とはとても考えられない。この映画を受け止めて、私たちは何をすべきか。多くの人に見て欲しい。(黒)

選挙、日本の場合2(高知県黒潮町の場合)

2011年/日本・韓国/シネマ・ダル配給/1時間36分
  • 監督・脚本・撮影=金知映
  • 出演=蜷川澄村

ストーリー

四国にある小さな町、高知県黒潮町。そこで行われる町長選では、小さな自治体にも関わらず何十億という政府補助金をめぐり、それぞれの理想と思惑が交錯する。そんな町長選に出馬したのは、ある一人の映画プロデューサー。彼は若者が少なく、活気のない町に変化をもたらそうと奮闘する。

コメント

「選挙は男のロマンだ」。そう言って手作りの選挙カーで走り回る、映画プロデューサーの蜷川。彼が掲げる改革案は、良く言えば斬新、悪く言えば既存では実施不可能で根拠のない話。彼の演説にしっかり向き合う人もいるが、その多くは目の端にもいれていない。新しいものをすぐに受け入れない、日本にありがちな風景だなと思った反面、それで良しとする自分もいる。多分これが島国根性と言うやつだろう。一言に民主主義と言っても、その風土によってさまざまになるのだ。変わらなくてはいけないのだろう。しかし変わらなくてもいいような気もする。ひとつの「選挙」から、日本にある多くの側面を垣間見ることができる作品だ。(蛭)