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11月24日(木)ベルブホール 第1部

監督と女優との宿命的な出会い―Vol.1―

-文化庁/東京国立近代美術館フィルムセンター 平成23年度優秀映画鑑賞推進事業-

スクリーンを通して知る日本映画の素晴らしさと女優の美しさ。名監督による、あの名女優の若かりし頃の姿・演技に注目です。
チケット料金:当日券のみ800円

浪華悲歌

1936年/第一映画社製作/松竹配給/1時間12分
  • 監督・原作=溝口健二
  • 脚色=依田義賢
  • 撮影=三木稔
  • 美術=久光五郎、木川義人、岸中勇次郎

  • 出演=山田五十鈴、梅村蓉子、大久保清子、志賀廼家弁慶、神藤英太郎、志村喬

コメント

主演の山田五十鈴、当時19歳の作品。現代で言えばOLの転落物語である。大阪の製薬会社に電話交換手として勤めているアヤ子(山田)は、公金を横領した父親を救うため社長の愛人となって借金を肩代わりしてもらうが、いつしか社長夫人に知られてしまい、追い出されてしまう。さらに兄の学費稼ぎのために男を騙すが警察に見つかり逮捕されてしまう。恋人にも逃げられて行き場をなくしてしまったアヤ子は自宅に戻るが、父、兄、妹に冷たく突き放されてしまう。

貧困によって身を落とさざるえなかった当時の女性の叫びを、涙に頼らず徹底したリアリズムによって描いた作品。作品全編に流れている大阪弁だけが唯一の救いのようでもある。戦前の溝口健二監督がリアリズムを確立した現代劇の傑作。

1936年度キネマ旬報ベストテン第3位。(中)

晩春

1949年/松竹製作/松竹配給/1時間48分
  • 監督・脚本=小津安二郎
  • 脚本=野田高梧
  • 撮影=厚田雄春
  • 音楽=伊藤宣二
  • 美術=浜田辰雄

  • 出演=笠智衆、原節子、月丘夢路、杉村春子、三宅邦子、坪内美子、桂木洋子、高橋豊子

コメント

海外の名立たる監督たちに多大な影響を与えた小津安二郎監督が、独自のスタイルとテーマを確立した家族劇。のちに小津作品の顔となる原節子の初出演作である。『麦秋』、『東京物語』と続く「紀子三部作」の第一作。

北鎌倉に住む大学教授の父(笠)と娘(原)。父の世話に明け暮れる娘に叔母(杉村)が縁談を進めるが……。結婚をめぐって微妙に変化する父と娘の関係を描いた作品。

小津映画の特色でもあるインサートカットが本作品にも頻繁に表れる。障子の手前に置いてある壺、京都の石庭。完全に無表情なモノを写すことで何かを読み取らせる。観る側が映画の中のモノに自らの感情を投影させる映画。それが小津の映画なのであろう。イメージ化された日本的なる姿の象徴としての小津映画は単なる表面的なものでしかなく、能動的に映画の中に入っていける映画を目指していたのであろう。

1949年度キネマ旬報ベストテン第1位。(中)