僕・みーくん(染谷)の幼なじみ、まーちゃん(大政)。とっても可愛いけど、乱暴でワガママで、壊れた女の子。僕はキミを守る。だって、世界で一番キミを××してるから……。嘘だけど。
僕とまーちゃんは、10年前の誘拐監禁事件の被害者同士。不穏な連続殺人事件が起きている街で僕らは再会し、一緒に暮らすことにした。そんなとき、精神科医の先生に聞いた。殺人事件を捜査する刑事が、僕らを容疑者扱いしてるらしい……。
ファンタジックでポップでキュートでとっても愛おしい。奇しくも、僕も「みーくん」だから、あんな風に、みーくんみーくんみーくん! と、連呼されたいものである。……嘘だけど。
いやいやいや、僕にはみーくんみたいに、どんな時でも、女の子を、淡々とした顔をしながらもしっかり守れる自信などまるで無い。まーちゃんみたいな女の子なんて、特に。
以前、こんなことがあった。「束縛してほしい」と恋人に言われ、頑張って毎日電話をし、毎日メールを送った。優しすぎる僕はそんな要求に答えることが苦痛になり、結局6ヶ月で別れを告げてしまった。……10%嘘だけど。(瑞)
神聖かまってちゃんの大規模なライブまであと一週間。プロ棋士を目指す女子高生(二階堂)、ショーパブで働くシングルマザー(森下)、神聖かまってちゃんのマネージャー(劔)。別々の場所で様々な悩みを抱える彼らのくすぶった心に神聖かまってちゃんの歌が着火し、それぞれの運命が走り出す。
「夜のなかを歩みとおすときに助けになるものは、橋でも翼でもなくて友の足音だ」--W. ベンヤミン
友の足音は、「遠くで近くですぐ傍で」聞こえる。何気なく聞き流していたロックの名曲があるとき突然波打って耳に注ぎ込み、全身を震わせたときの衝撃を歌い上げた神聖かまってちゃんの代表曲は、聴く者を奮い立たせる。本作の登場人物は互いに交わることがない。しかし、彼らは、ネット配信される神聖かまってちゃんの音楽でつながり、それぞれの葛藤を乗り越えようとする。互いに遠くにいながらもそれぞれが自らの足音を鳴らして共鳴するとき、夜闇へ踏み出すおぼつかない一歩は次第に確かなものになるだろう。
周囲とのギャップ、逆境、古い価値観の押しつけ……。それぞれの障壁は異なるが、覚悟を決めて立ち向かう姿はみな美しい。批評的なギャグを交えながら温かいしっかりとした眼差しで描かれる彼らの姿は愛おしい。鑑賞後の胸の高鳴りがいつまでも鳴り止まないっ!(佐友)
1979年生まれ。映画監督。『SRサイタマノラッパー』で第50回日本映画監督協会新人賞、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭グランプリなど。ほかの代表作に『SRサイタマノラッパー2 女子ラッパー☆傷だらけのライム』、『劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ』など。シリーズ最終章となる最新作『SRサイタマノラッパー3 ロードサイドの逃亡者』は来春公開予定。
1979年生まれ、秋田県出身。現在の活動は、短編小説、映画の脚本、月刊雑誌や携帯配信用のコラムなど、執筆業が中心。著書に「すべては「裸になる」から始まって」(講談社文庫・映画化が決定、来春公開)、「らふ」(青志社)、短編収録作として「七つの濡れた囁き」 (新潮文庫)、「華恋絵巻」(宝島社文庫)がある。12年冬に、講談社文庫から短篇集が出版される予定。
1979年生まれ、大阪府出身。東京芸術大学大学院映像研究科映画専攻修了。主な監督作に『彼方からの手紙』(2008年)、『あとのまつり』(09年)などがある。11年1月にメジャー映画長編作品『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』、10月に『5windows』(出演:中村ゆりか、染谷将太、斉藤洋一郎、長尾寧音)が上映された。
1982年生まれ。映画史研究者・批評家。現在、日本大学藝術学部非常勤講師。「群像」「ユリイカ」などに寄稿。共著に「日本映画史叢書15 日本映画の誕生」(森話社、近刊)「ゼロ年代+の映画」(河出書房新社)「本格ミステリ08」(講談社)「floating view――郊外からうまれるアート」(トポフィル)などがある。早稲田文学ウェブサイトで「イメージの進行形――映像環境はどこに向かうか」を連載中。