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11月19日(土)小ホール 第2部

原田芳雄は銀幕で生きている!


今年の7月、ファンにとっては、突然と思える名優・原田芳雄の死であったが、彼が銀幕で放ったそのオーラは、色褪せるどころか、死後もひときわ強く放っている。代表作と最期に情熱を傾けた作品で、それを共有したい。
    チケット料金
  • PART1 『竜馬暗殺』:当日のみ800円 ※PART2のチケット持参で300円
  • PART2 『大鹿村騒動記』:前売800円 当日1,000円
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  • Pコード:558-659icon Lコード:36160

竜馬暗殺

1974年/ATG、映画同人社製作/東宝配給/1時間59分
  • 監督=黒木和雄
  • 脚本=清水邦夫、田辺泰志
  • 撮影=田村正毅
  • 音楽=松村禎三

  • 出演=原田芳雄、石橋蓮司、中川梨絵、松田優作、桃井かおり、外波山文明

ストーリー

慶応3年、坂本竜馬(原田)が京都・河原町で暗殺されるに至った最後の3日間を描いた作品。壮大な革命の野望に燃える竜馬だが、時代は混沌の極み。誰もが敵か味方かさえよく分からない。そのような状況のなか、竜馬は一人、革命を叫ぶのだが……。

コメント

江戸末期に題材を得た時代劇だが、70年代前半のアングラ調が息づいていて、30年以上経た今観ても、すこぶる刺激的だ。大河ドラマの「龍馬伝」など、最近の坂本竜馬のイメージは颯爽としたカッコイイものだが、この作品で原田芳雄演じる竜馬は、とにかく汚くて無骨な男だ。ただ、そのダイナミックな風貌が、原田芳雄の厚い胸板の強靭な肉体に見事にマッチして、この作品の竜馬像がもっとも本物の坂本竜馬に近いのではないかと思わせる迫力がある。

スクリーンデビューから一貫して、銀幕での存在は凄かった。原田芳雄が出てくるだけでその男臭さで画面がビシリとしまり、どの映画でも一本芯が通ったように思えた。それが、『歩いても 歩いても』(07年、是枝裕和監督)の頃から男臭さを封じ込めた新たなステージに入ったようで、なんとなく自分の家族が老けたような寂しさを感じた。ところが『大鹿村騒動記』では、その存在感が復活していた。ブーツを履いた無骨な男の存在感は竜馬となんら変わらない、それが嬉しかった。原田芳雄は銀幕で生き続けている。そう思えた。(淳)

大鹿村騒動記

2011年/「大鹿村騒動記」製作委員会/東映配給/1時間33分
  • 監督・脚本=阪本順治
  • 原案=延江浩
  • 脚本=荒井晴彦
  • 撮影=笠松則通

  • 主題歌=忌野清志郎「太陽の当る場所」

  • 出演=原田芳雄、大楠道代、岸部一徳、冨浦智嗣、佐藤浩市、石橋蓮司、でんでん、三國連太郎

ストーリー

南アルプス山麓の大鹿村でシカ料理店を営む風祭 善(原田)は、300年以上の歴史を持つ村歌舞伎の花形役者。公演を間近に控えたある日、18年前に駆け落ちした妻・貴子(大楠)と幼なじみの能村治(岸部)が現れる。貴子は脳の疾患で記憶を失いつつあった……。

コメント

大鹿村は長野県の実在の村である。人口1200人、人間より鹿のほうが多い。南北朝時代に後醍醐天皇の皇子が隠れ住んだという歴史のある村。そこで300年以上伝えられてきた「大鹿歌舞伎」をモチーフに、原田から阪本監督への強い働きかけで実現した、味わい深い喜劇映画である。

冒頭、駆け落ちして18年間失踪していた二人が戻ってきてバスを降り立つところから、脚本は虚実を絶妙にブレンドし、悲しみとおかしみが渾然となった人生をあぶりだしていく。嵐の夜、駆け落ちの記憶が一時的に戻った貴子が、善に対する思いに身をよじるところ、善の好物の烏賊の塩辛を万引きしてしまうところなど、哀切なかわいらしさで大楠が好演。そんな貴子も、とらえどころのない治も、性同一性障害の少年・雷音も、善はおおらかに包みこむ。

歌舞伎の演技について、決められた形が少しずつ気持ち良くなっていったと語った原田。どっしりとした村の男をスクリーンの中で生きてみせた。ひときわ輝く置き土産を渡して、もう新たなスクリーンに彼が戻ってくることは無い。

村芝居かなしきことをおもしろく

合掌          (穂)