南米ペルーの貧しい村で、母が息をひきとる間際に娘に託した歌。それはかつて暴力が吹き荒れていた時代の壮絶な仕打ちの記憶。娘ファゥスタは母乳から母の苦しみを受け継いだと信じ、自分を閉じ込める。しかし母を故郷に埋葬しようと決意した時、彼女は悲しみの歌を真珠と引き換えに歌いはじめる。
極端に省かれた背景のストーリーにとまどいながら、ファウスタの歌に懐かしさを感じる。かつて祖母が遠くを見つめながらか細く、それでいて強く響く地歌を歌っていた。意味を問うてもけっして教えてくれなかった。
時代の嵐は底辺にいくほど激しく吹き荒れる。ファウスタが自分を閉じ込めるジャガイモのエピソードに私たちは言葉を失う。しかし映像は皮肉にまでも美しく、従姉妹の婚礼は楽しく綴られる。モザイクのようにちりばめられた登場人物の行動は、ペルーの重い歴史に裏打ちされている。エピソードのひとつ、ひとつが、リマと地方の言葉の違いまでもが、物語を多層にし、クラウディア監督の力量に驚かされる。
映画を観終わった後に南米の歴史をひも解いてください。また違った『悲しみのミルク』を見つけだすでしょう。魂の救済と再生の物語が残酷に、そしてこんなにも明るく描かれていることに。新しいラテンアメリカの才能にめぐり会えたことに私は感謝します。(g)
ボーカル。幼い頃からペルーの音楽に親しみ、中でもアヤクーチョ地方の民謡を愛好。後にいくつかのグループでペルーの曲を中心にフォルクローレを歌う。
ギター。15歳でアンデス音楽と出逢い、ケーナ・チャランゴ等の民族楽器をほぼ独学で習得。南米各国のフォルクローレを演奏する。二人はペルーの高名なギタリスト、ラウル・ガルシア・サラテ氏から高い評価を受け毎年ペルー国内で演奏活動を行っている。