(本年度最も活力溢れる作品の監督・主演のチームに対し表彰)
最優秀作品賞『一枚のハガキ』

「今日はお祭りですがあなたがいらっしゃらないので何の風情もありません。」実際に妻から兵士に送られた一枚のハガキから、戦争への憎しみと共に生きることの大切さをユーモアを交えて瑞々しく描きだし、次世代に受け継ぐ豊かな実りを結実させた。

最優秀作品賞『奇跡』

子どもたちが抱く切実な願いとそれをかなえるための試行錯誤、そして訪れる現実との対峙を、希望をもって描き、<夢を見失ったかつての子どもたち>の背中を後押ししてくれる宝物のような作品を誕生させた。

(映画ファンを魅了した事象に対し表彰)
特別賞:故・原田芳雄さん、阪本順治監督及びスタッフ・キャスト一同


死してより一層、その存在の大きさを映画ファンの心に刻み込んだ原田芳雄さんと、最期に情熱を注いだ『大鹿村騒動記』の農村歌舞伎に魅せられた人々の喜怒哀楽を大きな心で包んだ人間ドラマの映画的な広がりに敬意を表して。


特別賞:岸田繁(くるり)

『まほろ駅前多田便利軒』『奇跡』において、登場人物に寄り添い、時に感情の趣を牽引し、あるいは作品に化学反応を起こして、作品をより重層的に盛り上げる映画音楽を創りあげた。

(本年度最も心に残った女優を表彰)
最優秀女優賞:永作博美

(『八日目の蝉』において、)連れ去った愛人の子どもに対して、罪の意識を背負いながら理性よりも母性としての本能が勝って愛情が高まっていく様を全身全霊を傾けて演じ、その思いを残像として観客の脳裏に深く刻み付けた。

最優秀女優賞:小西真奈美

清楚な魅力も湛えつつ、時折見せる憂いのある表情や秘めた情熱を感じさせる佇まいは、はっとするほど観るものを惹きつけ、忘れられない存在感を残した。

(本年度最も心に残った男優を表彰)
最優秀男優賞:光石研

33年ぶり主演の『あぜ道のダンディ』で、憎めないオヤジの心情を、歌って踊って走って怒って、そして泣く・・・多彩な顔で見事に表現し、世代を問わず強い共感を呼んだ。

(本年度最も飛躍した監督、もしくは顕著な活躍をした新人監督を表彰)
最優秀新進監督賞:深田晃司監督

閉塞感漂う現代日本社会の中で、映画と演劇の垣根を軽やかに越えてそれらを愉快に、シニカルに破壊して、刷新した日本社会像を創ろうと意気込む、野心的な大傑作を生み出した。

最優秀新進監督賞:前田弘二監督

主演吉高由里子をはじめとする個性的なキャストを存分に活かし、単純ではない男女の心理をコメディ満載に描いて、笑えて楽しいエンターテインメント作品として仕上げた。

(本年度最も飛躍した女優、もしくは顕著な活躍をした新人女優を表彰)
最優秀新進女優賞:井上真央

(『八日目の蝉』において、)自らの生い立ちにぶつけようのない憤り、癒やされない傷を抱えながらも誰にも頼らず生きていこうとする芯の強さをしなやかにかつ清冽に演じた。

最優秀新進女優賞:二階堂ふみ

才能がある故の苦悩、怒りをダイナミックに表現し、全編流れる歌同様にパワフル且つ個性に溢れて、次世代を担う輝きを放っている。

(本年度最も飛躍した男優、もしくは顕著な活躍をした新人男優を表彰)
最優秀新進男優賞:古舘寛治

映画のなかで類い稀なる飄々とした存在感で観客の意識を惹き付け、他の誰でもなく「古舘寛治」でしかできない独特の演技で役柄を演じ切った。

最優秀新進男優賞:染谷将太

作品によって骨太にも軽やかにも演じ分け、そこはかとない色気も漂わせつつも、どの作品においてもその場にふさわしい存在感を持ち得る演技力に対して。